Avid DigiDesign Pro Tools HD2 PCIe System with 192i/o

Pro Tools|HDシステムにはDSPカードが一枚のHD1、2枚のHD2 Accel、3枚のHD3 Accelがあります。ナレーション録りなど、軽い収録主体の使用目的であればHD1システムで十分な場合もあり、逆に5.1ch/7.1chなどのサラウンドミックスシステム構築や、DSPパワーを消費するTDMプラグインを多数使うミックスの場合など、HD3 Accelが必須になります。

 

 

※これらPro Tools|HDシステムのカードにはオーディオ・インターフェイス機能はありませんので、別途「専用オーディオ・インターフェイス」のユニットが必要です。定番は192 I/O、廉価なものでは96 I/Oがこれにあたります。

 

例えば、軽いナレーション収録主体の場合「HD1システム+96 I/O」のシンプルなシステムでまかなえますし、8ch程の収録やステレオミックス主体の場合「HD2 Accelシステム+192 I/O」あるいは「HD2 Accelシステム+96 I/O」で十分でしょう。また、収録のためアナログ入力の増設が必要な場合、「HD2 Accelシステム+192 I/O」をベースにして、入出力ch拡張可能な192 I/Oの拡張ベイに「A/D Expansion Card」を装着し16ch入力に対応させます。(96 I/Oは本体の拡張性がないため、2台カスケードで使用することになります。)

 

 HD2 Accelでの運用の場合、カードが2枚なので、3つのPCIeスロットを装備するMac Proベースでは、PCIeスロットの2本を使用することになります。残りのPCIeスロットにビデオキャプチャーカードを装着することでフルHDのMAシステム構築も視野に入ってきます。(もちろんHD1でもフルHDビデオキャプチャーカードを併用することができます。) 

※Pro Tools|HD8 SoftwareはBlackmagic PCIeビデオキャプチャーカードにネイティブ対応しているので、Pro Tools SoftwareのビデオトラックをフルHDで外部出力することができます。

 

 5.1ch/7.1chなどのサラウンドシステム構築の場合、Pro Toolsソフトウェア上のサラウンド・ミキサーがDSPパワーを要求することにも起因し、HD3 AccelのDSPパワーは最低限必要です。特にサラウンド対応プラグインを多用する場合などなおさら、ということができます。また、ステレオミックスの場合でも、高品質なTDMプラグインを多用するならばHD3 Accelの選択を推奨します。また、HD3 Accelに加え、ビデオキャプチャーカードを併用する時や、eSATAディスクストレージ環境構築のため、eSATA-HBAカードを使用する時、あるいはAccelカード自体を増設して運用する時には(Mac ProのPCIeスロットが3本しかないため) 別途 Digidesign EB7 PCIe to PCIe Expansion Chassisの導入を考慮します。EB7 PCIe to PCIe Expansion Chassisには最大7枚のPro Tools|HD PCIeカードが装着できます。※7枚フル対応のサンプルレートは44.1kHz~96kHzまでとなります。192kHzでは4枚(スロット1-4)までが動作可能です。

 

 

※上記環境の場合、Mac ProのPCIeスロット#1にExpansion Chassis用HBAカード、スロット#2にeSATA用HBAカード、スロット#3にビデオキャプチャーカードを設置します。そしてPro Tools|HD用のカードは全てExpansion Chassis側に設置します。

 

 尚、TDM環境とCPUネイティブ環境を共用する考え方もあります。Mac Proの場合、余りあるCPU処理能力を内在していますので、これを有効利用するため、TDM版ではなくネイティブ版のプラグインを追加してゆく方法です。ネイティブ版のプラグインはTDM版と比して廉価なため、DSPリソースに限りあるHD1などでも(外のスタジオとの互換性は低くなりますが)CPUリソースを活用したシステムローカルのプラグイン環境をリーズナブルに拡充してゆくことが可能です。

 

<入出力チャンネルおよびトラック>

HD1は最大32ch I/Oに対応、最大96オーディオトラック(48kHz) 18オーディオトラック(192kHz)。

HD2 Accelは最大64ch I/Oに対応、最大192オーディオトラック(48kHz) 36オーディオトラック(192kHz)。

HD3 Accelは最大96ch I/Oに対応、最大192オーディオトラック(48kHz) 36オーディオトラック(192kHz)。

※快適な多トラック録/再を行うためには高性能ストレージ環境が必要です。

<バンドルプラグイン HD Pack 8>

Pro Toolsシステムには、「DigiRack」という標準付属のプラグイン・セット以外に「HD Pack」というハイクォリティーなプラグイン・セットがバンドルされます。セットの内容はHD1, HD2 Accel, HD3 Accelシステムごと異なります。付属プラグインを必要性から検討し、プラグイン主体でシステム選定されるのも、(後から単品で買い足すより)結果的にリーズナブルに導入できる良い方法でしょう。

 192 I/Oと96 I/Oの違い

 Pro Tools|HDシステム定番のオーディオ・インターフェース192 I/Oですが、ナレーション録りなど、軽い収録主体の使用目的であれば96 I/Oで十分なケースも多いはずです。実際、LEシステムの最大の弱点、録音時のソフトウエアを経由したモニタリングのレイテンシーが問題ない状況(使用目的)であればPro Tools|HDシステムではなく、003等のLEシステムでも十分にまかなえるケースすらあります。このあたりをバランスしてシステム構築をお考えになられると資金セーブに直結します。

96 I/O ¥210,000

 

192 I/O ¥420,000

 

<入出力チャンネル>

96は最大10ch、192は最大16chの同時入出力に対応します。

 

<サンプリングレート>

96は最大96kHz、192は最大192kHzに対応します。

 

<LEDメーター>

LEDメーターに関して、両者-42dB, -18dB, -6dB, 0dBの4段階表示は変わらずですが、192には、入/出力とも独立した16chメーターが2基用意されており、入/出力共に「16chの一括表示」が可能です。比して96には16ch分のメーターが搭載されており、切り替えにより入力レベル/出力レベルのどちらかを表示するタイプです。192/96共にザックリしたレベル表示なので出力監視用、指定レベルでの納品対応のためにVUメーターがあると安心です。

TOMOCA AMU-2III ¥76,440

 

<ヘッドルーム>

96は「14dB」192は2種「18dB/20dB」のヘッドルームを持っています。単純にいって192の方が複雑なミックスに関して飽和しにくいと言えます。

 

<入出力トリム>

192ではアナログインターフェースカードに用意された「入出力微調整用ボリューム」により、ヘッドルーム初期値18dB/20dBを任意のレベルにキャリブレーション可能ですので、クライアント指定レベルでの納品に的確に対応できます。比して96には入出力トリムがないため、ヘッドルームは14dB固定となります。

 

<アナログ入出力コネクタ>

96は通常のTRSコネクタです。192 I/Oの場合、8チャンネルの入/出力コネクタが特殊な「D-SUB25ピンのマルチ・コネクター」仕様のため、良質な専用ケーブルが必要です。この専用ケーブルは、片方が「D-SUB」コネクター、もう片方が8本のたこ足のようなバラ・ケーブルの仕様となります。そのバラ・ケーブルの先にキャノン(XLR)コネクタ、またはTRSコネクタがつきます。両者共に+4dBおよび-10dBのバランス入出力に対応します。

 

<A/D・D/Aコンバーターの性能>

「ダイナミック・レンジ」は、96ではA/D側、D/A側共に114dB、192ではA/D側で120dB、D/A側で118dBです。96と比して192ではレンジの拡い録再が可能です。「全高調波歪み+ノイズ」は96がA/D側、D/A側共に「-97dB」、192がA/D側「-109dB」D/A側「-105dB」で、192では96と比して、ソースの高調波上で発生する歪みが抑えられています。

 

<拡張性>

96には「拡張ベイ」がないため、インターフェイス単体での拡張性はありません。96で入出力を増やしたい場合、インターフェイス自体をもう一台増設する必要があります。比して192には「オプションカード用の拡張ベイ」が用意されており、必要に応じてD/A, A/DあるいはD/Dカードを装着し、8ch分の入/出力を増設することができます。例えば収録のためアナログ入力の増設が必要な場合、A/D Expansionを装着すればアナログ入力が8ch増設され「アナログ16IN-8OUT仕様」に拡張されます。また、サラウンド・モニタリングのためアナログ出力の増設が必要な場合、D/A Expansionの装着によりアナログ出力が8ch増設され「アナログ8IN-16OUT仕様」になります。またDigital Expansionを装着すると、デジタルAES/EBUが8IN-8OUT分増設され「デジタル16IN-16OUT仕様」に拡張されます。

さらに、一台の192 I/O(および96 I/O)には、もう一台の192 I/O(または96 I/O)を接続することができます。つまり、Pro Tools|HDカード1枚に付き「2台のオーディオインターフェイスを接続可能」ということです。例えばHD2 Accelの場合、Pro Toolsカードが2枚なので、1枚につき2台、計4台のオーディオインターフェイスを接続することができます。2台のオーディオインターフェイスにA/D Expansion、他の2台のインターフェイスにD/A Expansionを増設することで「48ch-IN/48ch-OUT」のシステムが構築できる、ということになります。このように192 I/Oでは、ご使用目的に応じ自在に入出力の仕様を拡張することが可能なのです。

Sync HDは必要?

 オプションのシンクロナイザーSync HDは、Pro Tools|HDシステムを単体で使用(内部シンクの状態で使用)する時には特に必要ありません。しかしながら、複数の192(96) I/Oを使用(安定同期)する時や、外部オーディオ/ビデオ機器とPro Tools|HDをシンクしなければならない状況やHDビデオの3値シンクを受ける場合などは必須の機器となります。

Sync HD ¥220,500

 

 複数の192 I/Oを使用する際に、Pro Tools|HDシステム全体を外部クロックにシンクする方法は2つあります。ひとつはマスタークロックから192 I/Oに対して直接ワードクロック(Word Clock)を供給する方法。もうひとつはSync HDを用いる方法です。外部シンクが必要な場合、Pro Toolsシステム全体の安定したベストなシンク状況が提供されるため、Sync HDの導入が推奨されます。いずれの場合にしろ、Pro Toolsペリフェラル全体は「ループシンク」により同期運転されます。

 

<Sync HD仕様>

・対応サンプルレート:44.1/48/88.2/96/176.4/192kHz 

・対応ポジションリファレンス:LTC/VITC/BiphaseTach/内部タイムコードジェネレーター/

 シリアルタイムコード(RS422)

・対応クロックリファレンス:Video(B.B./3値シンク)/1xWord Clock/AES DARS/

 内部クリスタル/BiphaseTach/LTC/Loop Sync

・ジェネレーター:Loop Sync/256x Super Clock/1xWord Clock/

 AES11 Clock(Audio Bit OFF)/VITC/MTC/